お墓は先祖代々の遺骨を祀るもので、仏壇はミニチュアのお寺

お墓には遺骨が入っているため、故人や先祖を祀るためのものであることは、実感がしやすいのではないでしょうか。「お墓は単に故人の遺骨の入れ物で、魂はないのか?」と思うかもしれませんが、お墓に納骨するときには、きちんと魂入れの儀式を行いますから、お墓には魂もあるといえます。一方、仏壇には位牌があり、位牌には故人の魂が込められているとされます。すると、お墓にも仏壇にも故人の魂があることになります。「どちらも同じ意味を持つのか?」と考える人が出てくるのも、不思議ではありません。しかし、本来の意味からすれば、仏壇は本尊を祀るものです。仏壇の上部には、きらきらした装飾に囲まれて本尊が座していますが、これはお寺の本堂の装飾と似ていると思いませんか。仏壇は、各家庭に設けられたミニチュアのお寺なのです。よって、仏壇に毎日お参りすると、お寺に毎日参拝しているのと同じ意味になります。また、本尊の下に故人の位牌や遺影を飾ってお参りすることは、「私たちはご本尊に見守られ、ご本尊のもとに旅立った故人にも見守られている」ということを実感するための行為です。
 


 

 
お墓と仏壇の意味が同じになってきた現代

 

 

 仏壇が本尊を祀るためのものといわれても、いまいちピンと来ない人は多いでしょう。それほど、現代人にとって仏教が縁遠いものになってしまったといえます。仏壇が各家庭に置かれるようになったのは、江戸時代に寺檀制度が整ってからのことです。誰もがお寺の檀家になることを義務付けられた寺檀制度の下で、庶民の間でも亡くなった人に戒名が与えられるようになりました。戒名が書かれた位牌を家で祀るために、仏壇が普及していったといわれています。また、そもそも民衆の間には、お盆などにお供え物を上げる棚を作って故人を祀る風習がありました。この風習と本来の仏壇の意味が混じり合って、現代の仏壇ができあがったという説が有力です。それから数百年が経ちました。仏壇にお参りするとき、本尊にお参りしているという意識を持つ人は少なく、故人の冥福を祈っているのだと考える人が圧倒的に多いのではないでしょうか。すると、お墓と仏壇の意味は、全く同じだといえます。ただ、毎日お参りできるのが仏壇であり、折に触れて訪ねるのがお墓であるという違いしかないでしょう。「仏壇のある実家には、そもそも盆暮れにしか帰らない」という人には、毎日拝めるという仏壇の利点も感じられません。
 


 

 
お墓だけを求め、仏壇は買わない場合

 

 

 お墓は整えず、仏壇だけを買うという選択肢もあります。自宅で遺骨を供養したいと思う人にぴったりです。とくにお子さんを亡くした人には、どうしても納骨に踏み切れない人が少なくありません。仏壇の手前に棚を設け、骨箱を置いて供養しているという例が見られます。自宅で遺骨を供養することを、手元供養といいます。遺骨をずっと手元に置いておくことは、何ら違法ではありません。日本の法律では、埋葬をするなら墓地として許可を得た場所でなければならないと決められていますから、自宅の庭に穴を掘って埋めるなどの行為をしない限りは、遺骨を自宅に置いても構わないのです。ただ、大きな骨箱がいつまでも仏壇の前に置いてあるというのは、少し目立ちすぎるかもしれません。少しだけ気持ちが落ち着いたら、市販されている小さな骨壺などへ遺骨を移し替え、溢れてしまった遺骨は近くのお寺へ合祀させてもらったり、散骨としたりするのをおすすめします。